「キューバさんっ」
「てめぇアメリカ! 何の用だ!」
「違います僕ですカナダです!」
朗らかな表情は一転、ハの字眉の泣き顔に変わった。
「僕考えたんですけどね」
売店で買ったアイスはキューバのおごりだ。子供が鳩を蹴散らすのを眺めながら、二人でベンチに座る。アイスと同じく、カナダの頭には三つたんこぶが連なっている。
「次に会ったときにキューバさんが僕とアメリカを間違えなかったら、僕の家に遊びに来てほしいんです」
「……間違えたら出入禁止ってことか」
「そうじゃなくて!」
地面に目を落とすキューバの真剣な顔を見てカナダは慌てた。
「目立てるように頑張ってるつもりだったんですけど、いつも影が薄いって言われてしまうのは、やっぱり努力が足りないからだと思ったんです。けどついのんびりしてしまって……。それで、ニンジンをぶらさげるというか、ごほうびを用意しておくというか」
無言で地面を見つめるキューバを横目で見て、やっぱり失礼なお願いだったとカナダが後悔しはじめたその時、キューバは派手な音を立てて膝を叩いた。
「よし分かった! そんなんなら協力してやろうじゃねえか!」