マニゴルドの目の前でモブに犯されるセージ。
モブ×セージ
男の手によって大きく広げさせられた脚の間から、赤く色づいた菊門が覗く。充血し、ぽってりと膨らんですら見えるそこを濡らしているのは、潤滑油だけではないだろう。更なる刺激を求めるように綻びを見せた窄まりは、常のセージからは想像もできない卑猥さで、マニゴルドは思わずゴクリと喉を鳴らした。
マニゴルドの様子を面白げに見ながら、黒い布に目元を覆われたセージの背中を恋人さながらに抱いた男は、その太い指には不似合いな繊細な動きでもって、暴いたばかりの秘部の縁を撫でた。
「痛かったら言ってくださいねー」
「……っ」
一体どれほどの間弄られていたのだろうか。大して力を入れていないように見える男の指が、何の抵抗もなく飲み込まれてゆく。恥じ入るように俯いたセージの、赤みの差した頬が、サラリと流れ落ちた髪に隠れる。不自然なほどに乱れのない法衣と、物慣れた女のように男の指を受け入れるそこが、ひどくアンバランスだった。
ゆっくりと抜き差しされる指はあくまで優しく、男は弛んでいるそこをさらに弛めるように、加えた二本目の指を広げながら動かした。セージが息を潜めているおかげで、場には男が立てる小さな水音しか聞こえない。
「教皇様のここ、さっきよりも熱くなってますねぇ」
無意識に閉じようとするセージの脚を押さえながら、男は言った。伏せられたセージの顔を覗き込むように肩口に顎を乗せ、睦言のような声音で囁く。
「もしかして、お弟子さんに犯されてるところを想像しちゃったり?」
「……! 何を馬鹿なことをッ!」
「うわぁ怖いっ」
セージの叱責にも男は堪えた様子などまるでなく、男はゲラゲラと笑い声を立てた。
「怒らないでくださいよぉ。俺といるのにお弟子さんの心配ばっかりするから、ちょっとしたヤキモチですよぉ」
男は体液に塗れた手でセージの顎を掴んで首を捻らせた。マニゴルドの方をちらりと見て、優越感を漂わせた笑みを浮かべる。
「お優しい教皇様は許してくださいますよね? 仲直りのちゅーしましょう?」
男はおどけた様子で「んー」と唇を突き出した。
セージは苦虫を噛み潰したように口元を歪めたが、意を決したように唇を引き結ぶと、男の声を頼りに手を伸ばした。他のやり方など知らないのだろう。自分を辱めている相手だというのに、男の手に導かれるまま男の頬に手を添えて唇の位置を確かめるセージの所作には、慈しみが溢れている。
じっと待ちに徹していた男は、セージの唇が男の唇に触れたところで一転、セージの口全体を覆い尽くすようにむしゃぶりついた。
「んむぅっ!?」
「やっぱり恋人セックスはこうでなくちゃ♪」
頬に添えられていた手を握った男は、抱きすくめるようにしてセージを押し転がすと、今にもズボンを突き破りそうな股間をセージの太腿にすりすりと擦り付けた。息苦しさと混乱から抵抗を見せるセージに伸し掛かりながら、別の生き物めいた大きな舌でもってセージの口腔を蹂躙する。
「む、ふぐぅうっ」
「ねえ教皇様ぁ、挿れていいですか? いいですよね?」
セージの返答を待たず、男は膝裏を持ち上げて脚を開かせ、束ねた指を一気に根元まで後孔に入れると、先ほどとは打って変わって、拳ごと突き入れそうな勢いで抜き差しした。
「ん、ふァ、んんっ!」
「声なんか我慢しても無意味ですよぉ」
「ン……んッ」
セージは嫌々をするように首を振ったが、暴力じみた荒々しい動きにも関わらず、漏れる声には甘ささえ混じっている。マニゴルドは信じられない気持ちで、拒んでいるのか求めているのか、踊るようにくねるセージの腰を見た。開放されたセージの脚が抗いきれないように男の胴に縋りついたとき、男は待っていたようにセージの顔を押さえてもう一度口を吸い、むしるように目隠しを剥ぎ取った。
「お弟子さんの安否が知りたいって、ずっとお望みでしたよねぇ!」
急に開けた視界の眩しさに瞬きながら、セージは下卑た表情の見本のように笑う男の顔を見、誘導する男の視線を追って、部屋の隅を見た。
そして、その目を驚愕に見開いた。
「マ……マニ、ゴルド……?」
セージが驚くのも無理はない。セージが辱めを受けていたのと同じ部屋の中、ほんの目と鼻の先に、マニゴルドは座っていたのだ。いくら視覚を奪われていたとはいえ、マニゴルドの小宇宙をずっと探し続けていたセージがその存在に気付かないなど、ありえないことだった。
「なぜお前がそこにいるのだ……?」
「俺には分からないですけど、聖闘士様は小宇宙を消すってことができるらしいじゃないですか。いやぁ、お師匠様にも隠し通せるなんて、蟹座様すごいですねぇ」
囃し立てるように言った男の言葉に、マニゴルドは顔を歪めた。謀られたと表現するにはあまりに拙い罠だ。セージの無事を思えばこそマニゴルドは男の言葉に従わざるを得ず、セージもまたそうだったのだろう。今はまだ混乱の色を残している師の顔が、現状を理解して失望に染まる様など見ていられるはずもなく、マニゴルドは顔を伏せた。
「さぁて、ここで蟹座様に問題です」
ふうふうと荒い息を吐きながら、寝台を降りた男はマニゴルドの元までやってきた。ズボンの中の膨らみのせいで至極歩きにくそうに、よたよたとマニゴルドの背後に回る。
マニゴルドの体は後ろ手に椅子に縛り付けられていたが、セージのためと今まで動かずにいただけで、縄を引きちぎることなど造作ない。男は既にセージの元を離れており、部屋の内外に他の気配はない。マニゴルドは指先に小宇宙を集中させた。
「教皇様を助けたいなら、よぉっく考えて答えてくださいね」
小宇宙とは何かが分からずとも、マニゴルドの殺気が伝わらないはずはないのに、背後に立つ男には緊張感のかけらもない。そのことに苛立ちを募らせながらも、マニゴルドは冥界波を放つタイミングを伺った。
マニゴルドの両肩にポンと手を置いた男は、間延びした声で言った。
「教皇様が今いっちばん欲しいものはなんでしょー?」
- 投稿日:2014年7月25日