好みの話

 シャカの下着は存外派手な色をしている。文化による色彩感覚の違いかもしれないし、ひょっとしたら強い色の方が見やすいなどということがあるのかもしれない。そう納得しかけたところに、一枚布を服の形に纏い終えたシャカがアイオリアに向き直った。
「どうかしたのかね」
「……お前の下着の色が派手だと思った。が、そうでもないと思い直したところだ」
 何でもないと答えて引き下がる相手ではない。正直に述べたアイオリアの答えに、シャカは何やら思案する素振りを見せた。
「どうやらわたしは派手なものが好きらしい」
「そうなのか?」
「わたしはきみを好いているだろう」
 アイオリアは首を傾げた。派手だと言われるのは初めてのことだった。
「派手、と言うのはアフロディーテやミロのような男を言うのではないか?」
 アフロディーテの輝くような美貌や、ミロの目を奪われる勇壮さに比べると、自分はいささか地味であるように思われる。仰ぎ見られるべき黄金聖闘士としての偉容を備えているという自負はあったが、単純な見た目という点では十人並み、そう思っている。
「はて」
 言われたシャカも、納得のいく話ではあったらしい。もう一度首を傾げ、まじまじとアイオリアを見る。閉ざされた視界に自分の姿がどのように映っているのか、アイオリアに知る術はない。
「では……惚れた欲目というやつだろうか。わたしの目にはきみが一等眩く映るのだ」

投稿日:2014年7月30日