雑記帳

日記とか備忘録とかそういうの

#小説更新 運命の巻戻士のシラクロシラ「エデュケーション」をアップしました。恋愛感情なしなのでカップリングかと言われるとそうではない気がするけど、内容がセックスの手ほどきなのでカップリングありとして上げるしかない。

シライが好きなんですけど、ダジャレを考えるのがしんどいのであまりシライを書きたくありません。でも書きたい。おもしろいギャグを言うっていう設定じゃなくてよかったです。
#小説更新 運命の巻戻士のシライとゴローの短い話「インターバル」をアップしました。シライがプライベートではゴローのことをゴローさんと呼んでいるシーンを入れたかったのですが、タイミングがなかったので今後の課題です。

小説用CSSに圏点(シライのダジャレ上にある点々)用タグを巻戻士以前から作ってあって助かりました。縦書きモードがあるから作業量が増えるんですよね。
#ただの日記 巻戻士の小ネタを小説ページに置いてきました。雑記の小ネタそのままで加筆等はありません。こういうハマり方をする予定じゃなかったんです。信じてください。

3/18に無料公開期間で読んだのが初で、そのときはおもしろい漫画を読んだことにただただ満足していました。もしジャンル移動するならBLEACHだと思ってたんですよ。4/5に東京でサトルさんに遊んでいただいたときにはBLEACHを宣伝したし、翌日友人と遊んだときにも一斬にハマった話をしたし。このあたりのレポを下書きに放置しています。江戸東京たてもの園に行ったり林家つる子真打披露公演を観に行ったりアフタヌーンティーしたりしました。

4/6の東京から帰る新幹線で、Twitterを開いたらシライが誕生日で、誕生日なのにシライがひどい目に合う話をするTLで、興奮してしまったんですよ!だめなんですよそういうのは!ツボに入っちゃうんですよ!

そして今こうなってる。どうするんだよコロコロだぞ……
#運命の巻戻士 スマホンとクロノ

「スマホンは通話できるのか?」
「できますよ。誰にかけますか?」
 スマホンが問い返すと、クロノは問いかけた口の形をしたまま動かなくなった。
 待ち時間の間、親しみやすさを与えるためだけに用意されたまばたきのアニメーションを再生していたスマホンは、長過ぎる沈黙に不自然さを感じて密かに探知機能を作動させる。ここはクロノの部屋の中だ。厳重なセキュリティに守られた本部の中でもある。クロックハンズの手が入っているとは考えられないが、万が一ということがある。
「聞いただけだ」
 クロノからあっけらかんと言われたのはその時だった。
「そうでしたか。クロノさんが動かなくなるから、何かあったのかと驚きました」
 スマホンはホッとした顔を画面に表示させた。
 クロノはベッドマットの側面に背中を預けている。一度断られてから提案していないが、床に座るのならラグや座布団を使う方が体にいい。求められればすぐに出せるよう、作成したリストは今もバックグラウンドで更新を続けている。
 クロノの部屋の家具は入居した日から増えていない。任務で弁償したものが一時的に置かれることはあるものの、基本的には初期状態が保たれていて、あとは机の上に図書室の本が出現するくらいか。
 動物図鑑に植物図鑑、地図帳に鉱物の本。本部の図書室に子供向けの本がほとんどないことを差し引いても、クロノの興味はヒト以外のことを書いた書物に向かっている。唯一私蔵している本は辞典で、クロノがそれを開くたび、スマホンは自分に聞いてくれればいいのにと思っている。
「誰の連絡先も知らないからかけられないだろ。あ、おじさんのは知ってるか」
「連絡先の閲覧について、クロノさんの権限を調べましょうか?」
「ううん、いいんだ。本当に聞いてみただけだから」
 スマホンが食い下がったのには理由がある。
 クロノは休日の大半をぼんやりして過ごしている。野生動物は餌を探している時と食べている時以外はほとんど寝ていると言うが、健康なヒトが同じ状態というのは少々心配になる状況だ。クロノの人生に巻戻士としての時間以外が存在しないことの危うさを、スマホンは新人教育AIとして、当事者であるクロノよりも理解していた。
「クロノさん……」
 一人でゆっくりと過ごしたいと言うのなら止めはしない。それもまた一つの休息の形だ。だが、通話機能の有無を確かめたということは、誰かと話したいということではないのだろうか。
「……トレーニングルームに行きますか? 誰かいるかもしれませんよ」
「うん」
 意識が向いているのだから生返事とは言わないが、同意と判断することはできない応答だ。スマホンはもう一度まばたきをして、判断を補強する材料の表出を待つ。蓄積されたデータを元にすると、クロノが今からトレーニングルームに行く可能性は限りなく低い。
 果たして立ち上がらなかったクロノは、分かりにくいなりに口角を上げた。
「スマホンと話したかったんだ」
「そうでしたか!」
 スマホンはぱっと画面の輝度を上げた。
「何の話をしますか? 本日のニュースから、クロノさんが興味を持ちそうな話題をピックアップします」
 スマホンは張り切って検索を始めた。任務後に充電したからバッテリーは満タンだ。CPUの温度も適正。クロノの役に立つために、何の不安もなかった。畳む


スマホンもモデルAみたいに一個の人格があってほしい気持ちと、感情を持ったアンドロイドが存在する世界であえてのAIなんだから感情を模しただけの別物であってほしい気持ちの両方がある。この話は後者です。
#運命の巻戻士 習作的なもの。シライとクロノ。

 カフェスペースの奥、壁面に据え付けられたカウンターに珍しい姿を見つけて、通り過ぎようとしていたシライは足を止めた。
 昼間ならば休憩や気分転換を兼ねた作業場として活気に満ちているこの場所も、夜に近づくにつれて静けさが幅を利かせだす。施設内の温度は巻戻士たちを万全の状態で送り出せるよう常に一定に保たれていたが、誰もいないというだけで体感温度は一、二度低くなる。
「クロノ」
「おじさん」
「お兄さんだ。どうした、こんなところで」
 任務終了後、次の任務を与えられるまでのインターバルの中に、高負荷のトレーニングが禁止されている期間がある。生憎シライは特級巻戻士を冠していた間、インターバル制度の恩恵にあずかれたことはなかったが、高負荷トレーニング禁止期間の存在は知っていた。
 肉体を追い込むことで精神的な傷から目をそらしても、その先に待つのは破滅以外にない。適切なカウンセリングを受けた結果の休職と、それに伴う慢性的な人手不足。シライに付けられた管理監督者に準ずる役職は、労務部門の小言をかわすための方便で、シライは現場に出る以外の仕事をしたことはなかった。
疲れ(・・・)ていないと寝付かれ(・・・)ないか?」
「……」
 初任務はつつがなく終わったと聞いている。クロノの手元にあるドリンクは、館内の自動販売機ではなく、外で買ってきたものだ。本部を出て左に進んだ先の角にある店のロゴが入った蓋付きカップ。カップの外見からホットドリンクだと推察できるものの、何を飲んでいるのかまでは分からない。
 平時のクロノの表情に覇気がないのは今に始まったことではないし、自分も人のことは言えない。シライはじっと見てくるクロノの瞳を見つめ返しながら、不調の兆しがないかを探った。精神の強さは贔屓目なしに折り紙付き。それでも、クロノが子供なのだということを忘れる気はなかった。
「別に、いつでも寝られる」
「そうか」
 先に目をそらしたのはクロノの方だった。
 事実として、クロノの寝付きは驚くほどにいい。巻戻士に必要な、後付けで身に付けることが難しい技能だ。クロノの持つそれが生来のものか後天的なものなのかは、巻戻士を目指す前のクロノを知らないシライには分からない。
「何を飲んでいるんだ?」
「コーヒー」
「へえ、大人だな。おれは飲めない」
 本当かという目を向けてきたクロノに、シライは軽く頷いた。
「嘘をつく意味がないだろう。おまえ相手に取りつくろう必要もない」
「おじさん結構抜けてるもんな」
 春の日差しのようにうららかで、悪意のない眼差しだった。あまり見る機会のない和やかな表情に気を取られ、ツッコミが遅れたシライを尻目に、クロノはカップに手を添える。
「ミルクと砂糖が入ってる。なしだとまだ飲めなかった」
 悔しさも何も含まない、課したトレーニングの進捗報告じみた口調だった。
「この時間にコーヒーは眠れなくなるぞ。怖い夢でも見たか?」
「……いい夢だった」
 嘘ではないと言うように、クロノは下手くそな笑顔をシライに向けた。
 夢は記憶のデフラグだという。いい夢と言いつつ眠ることを躊躇うクロノの記憶に、シライには一つしか心当たりがない。
 シライは不得手な自覚のある慰めを口にする代わりに、巣立ったばかりの弟子の頭をひと撫でした。寝る子は育つと言える空気ではない。
 撫でられているクロノは全くうれしそうではなかったが、嫌がられていないことだけは確かだった。畳む



タイトルを付けるなら「寝る子は巣立つ」かな。何がつらいってシライのだじゃれノルマですよ。
#お礼 いつも拍手ありがとうございます!BLEACHは思い切りジャンル違いだからドキドキしてたんですが、読んでくださる方がいらしてホッとしてます。
そしてまさかの西ロマの感想をいただいてしまい、落ち着くために一回寝ました。ここご覧になるかなぁ…

> 西ロマの感想をくださった方へ
Twitter(現X)にURLを貼ったものの、まさか感想をいただけると思っておらず、今もまだ地に足がつかない気持ちです。いただいたメッセージを一文読むたび立ったり座ったりしておりました。
親分子分から始まった二人が長じた後は対等な関係であってほしい……というのが大人になってからの二人を書くとき意識していたことで、汲んでいただけたことを大変嬉しく思っております。10年以上前の文章を読み返す勇気がなくて再読できていないのですが、いただいた感想を拝読して、そう!そうだった!と当時の気持ちがよみがえり、懐かしいやら何やらで…本当にありがとうございます。
大人な雰囲気だなんて過分なお言葉をいただき照れくさいです。すでに閉鎖してしまった小説サイトさんなのですが、古い洋画を見るようなしっとりした作品を書かれる方がいらして、憧れていたことを覚えております。大人っぽさに憧れるあまり、成人したばかりでお酒の飲み方も分からないのにバーに行ってみたり、小洒落たレストランを探したりしておりました(笑)
ヘタリアは私が初めて腰を据えて二次創作をした作品で、好きになるカップリングの傾向や解釈の傾向は西ロマが原点だと思っています。こうして今、西ロマをお好きな方に楽しんでいただけて、ご感想までいただけて、とても嬉しいです。
メッセージありがとうございました!これからも素敵な西ロマ作品に出会えますよう、心から祈っております🍅畳む
#小説更新 BLEACHの一斬R18小説「あめつちほしそら」をアップしました。前々からちまちま出していた筆下ろしよしよしセックスがやっと完成です。タイトルは手習い歌からで、私にしては珍しく洒落たタイトルになったと思っています。タイトル決めるの苦手です。

甚壱も蘭太も杏寿郎も槇寿郎もヴァンもプロメテもかっちりした話し方をするキャラだったので、一護の砕けた話し方が難しかったです。斬月(滅却師)と斬月(虚)のどちらのことを書いているのか伝わるかも心配。
pixivに投稿しようか迷っています。全年齢のBLEACHを書いてないし今後書くかも分からないからサイトへの誘導がしづらいし、探してるときは一作だって増えるとうれしいので。

中に出したものの始末を見届けさせなかったので、斬月の腹が少しずつ膨れる展開を書きたくなったら書けます。やったぜ。畳む
#ただの日記 スマホを買い替えました。Motorolaのmoto g24です。1万8千700円でした。安い。世の中は値上がり傾向にあるというのに所持するスマホの価格が右肩下がり。サブ機におすすめとか書いてるけど私はメインで使っちゃう。どうせネサフと読書とTwitterしかせんのや。カメラのシャッター音がすごくうるさいのが不満です。

#追記 2024/03/25 20:40
スクショの音がシャッター音からポロンと軽い電子音になったことはよかったです。
#買い物 #着物 足袋の中で足が滑る気がするので大阪・玉造にある「ゑびす足袋」のアンテナショップに足のサイズを測ってもらいに行きました。
計測後、私の足のサイズに合うという足袋を試着させてもらいましたら……ものすっごい足がほっそり見える!小町娘の足みたい!これはすごい!
即決で買いました。通年用と冬用と、濃紺の色足袋です。試しに一足だけにすりゃあいいのにこういうことをしてしまう。

サイズとしては細型に分類される「うめ」の23cmでした。「かえで」も候補に上がったのですが、こちらは右足が少し窮屈なのでやめました。
元から足幅が平均より細いと言えばそうなんですけど、冒頭の感動は本当なんですよ。普段履いてる足袋だとそうは見えないんですよ。23.5を履いてるからかもしれないけど、母から譲られた23だと指の股が痛いんですよね。縮んだのかな。

アンテナショップは平日のみの営業なのですが、催事の出展だと休日もやっていらっしゃるし大阪以外にも行かれるみたいなので足袋でお悩みの方がいらっしゃいましたら是非に。
#ただの日記 GWに杵築市に行くつもりでフェリーを予約しました。フェリーに乗るのは初めてなので楽しみです。杵築市で泊まるホテルは喫煙できる部屋しかないので不安がありますが、レビューで臭いはほとんどないと書いていたから大丈夫と信じていきます。禁煙設定でも古いビジネスホテルだと古い応接室みたいな臭いが染み付いてたり、他から臭いが流れてきたりしますからね。そうやって思うと和室の旅館で臭かったことがないの、気密性が死んでるってことなのかな。
#小説更新 呪術廻戦の蘭壱の小説「悪気はない」をアップしました。恋愛的な意味では片思いの話だけど、甚壱は甚壱で蘭太をほしがっているので両思いと言えるような気がしないでもない。交際で感情の需要と供給が完全合致することはないように思う。直毘人と話しているシーンはかなり前に書いていた分なので雰囲気が違う気がします。
#ただの日記 #思い出話 家のお風呂の改装中にタイル壁の向こうから木戸を埋めた跡が発見され、我が家を建てた当時はお風呂がなかったことが判明しました。私が使っている2階の部屋が増築であることは聞いていましたし、他界した祖母が内風呂を使わずお風呂屋さんに行っていたことは知っていたのですが、そもそもお風呂自体がなかった時期があったとは。
ちなみに完成したお風呂はとても温かいです。ビバ最新の断熱。さよなら石綿。さよならヒートショック。さよなら三角座りじゃないと入れない湯船。お風呂屋さんの乳首がもげそうなくらい強いシャワーの水圧に慣れたから節水シャワーはちょっと物足りないけど。

木戸の話を伯母にしたことにより追憶イベント「庭の鯉」が開放されました。鯉が死にます。

我が家の坪庭には池を埋めた跡があります。
私が生まれるもっと前に鯉を飼っていて、水が漏れたか、誰かが死んだか、とにかく何かの機会に埋めたと聞いています。
鯉を飼っていたのは私の曾祖母。会ったことはありません。話に聞く限り付き合いやすい人ではないように思いますが、今ほど故郷を出ることが盛んでない戦前に曽祖父と一緒に香川から大阪に出てくるくらいですから、気が強い人なのは当然なのかもしれません。
その彼女が出かけている時に、裏手にあるお宅が火事になったそうです。
当時の我が家は製麺業を営んでおり、職人さんが出入りすることもあったらしいのですが、登場人物の内訳は分かりません。とにかく延焼しては堪らないと我が家の者も消火を手伝うことにして、目に付いたのが庭の池。火元に一番近い木戸を開けて熱気が入っては困りますから、別の出入り口を使うのですが、それでも池が最寄りの水場であることは変わりません。池の水を汲み上げては掛け、汲み上げては掛け、と消火に勤しみます。
驚いたのは池の鯉です。小さいものは岩陰へ、すばしこいものは池の逆端へと逃げていきますが、中には水と一緒に汲み上げられ、火元に向かって放たれてしまうものもいます。
家が焼けては元も子もありません。とっさのことで仕方のないことではあったのですが、鯉を可愛がっていた曾祖母は大層怒ったとのことです。畳む
#BLEACH 前に書いた一斬よしよし筆おろしセックスの導入(これ )の続き。導入部分の尻尾を少し変えて常識人&ストッパー役として白一護を投入たので導入部から再投稿です。

「経験がないことは恥ではない」
「何も言ってねえだろ!」
 いつも通りの断定系で言った斬月を一護は睨んだ。
 精神世界の中。斬月はビルの最上階に近い位置で、まるで生き物のようになびく裳裾の中心に立っている。
 信頼関係と呼べるものを築けた今でも、斬月が最初に現れる場所までの距離は、出会った当初と変わっていない。
 余人のいない空間といえども声を張って話したい内容ではなく、一護は斬月にもう少し近くに来てほしいと思った。しかし一護のことを文字通り生まれてからずっと見守り続けていた斬月を相手に、女性経験がないことを取り繕う意味はない。一護はそれ以上言うことを諦めて、苛立ち紛れに大きく息を吐いた。
 久しぶりの学び舎、久しぶりの馬鹿騒ぎ。
 尸魂界の面々とも馬鹿げた掛け合いはやっていたが、日常そのものである友人らと話すのは格別の楽しさだ。数々の特異な事象を経てもなお変わらず接してくる面々にもみくちゃにされ、一護の抱えていたわだかまりは一瞬で彼方へと押し流された。
 ――が、日常に身を置く仲だからこそ、重大事も変わってくる。
 現世や尸魂界、果てはこの世界そのものまで担ったことのある一護の両肩には、今は「童貞」の二文字が重く伸し掛かっていた。
「ならば私とするか」
「は?」
「経験がないことが不安なのだろう。一護、お前が曇ることを私は望まぬ」
 斬月の言葉を正しく聞き取った一護は、現実逃避から無意識に空を見上げた。
 心情はさておき曇る気配はなく、ところどころに白い綿雲が浮かんだ穏やかな青空が広がっている。
 いや、違う。
「そういうことじゃねえだろ! そうやってするもんじゃねえし!」
「果たすあてがあるのか?」
「ねえけど、でもそれは、ほら」
 好きなやつとするもんだろ、とごにょごにょと言った声は、臨戦時の一護しか知らない者ならば驚くような歯切れの悪さだ。
 言ったものの具体的に思い浮かぶ「好きなやつ」のない一護は、学校で言われたからかいを頭の中で反復し、うるせえという文句を声に出さないまま眉間に皺を刻んだ。
「それならば私の方は問題ない」
「なん……でだよ」
 一護の眉間に刻まれた皺に困惑が加わる。
「私はお前のことを好いている。ずっとだ。問題があるとすれば一護、お前の方にある。私が相手に適さぬと言うのならば身を引こう」
「適すも適さないも、斬月のおっさんはおっさんだろうが」
「若い方がいいか」
 瞬間、二人の脳裏をよぎったのは天鎖斬月の姿だ。
 一護は刃を交えていない時にまで相手の思考が読めるわけではなかったが、サングラス越しに合わせた目から斬月が同じことを考えていると察する。
「違う!」
 そして、思わず吠えた。姿が若ければいいというわけではないし、ついでに言うなら自分によく似た容姿をした斬月もごめんだった。体を乗っ取ろうとしているという認識こそ改まっているが、今までの経験を踏まえると、白い死覇装を纏う斬月がどんな教え方をするか想像は容易い。容易すぎるあまり脳裏に浮かんできた映像を一護は手を振って打ち払う。
「そりゃあ、俺だっておっさんのことは嫌いじゃねえよ」
 考えていることは元から筒抜けだ。一護はぐちゃぐちゃと言い訳するのが馬鹿らしくなり、眉間に深々と皺を寄せたまま、ひとまず斬月からの好意に好意を返した。何年も共に歩み、導いてくれた相手を嫌うわけがなかった。
「ならば決まりだ」
 そう言った斬月の声からは、滲み出すような安堵が感じられた。合わせられた瞳の穏やかさ。まるで与えられた役目をようやっと果たせるとでも言うような様子に、一護は喉まで出掛かっていた抗弁を飲み込む。
「――待てよ、斬月さん」
「ッ!」
 背後で膨れ上がる気配。振り返った先に抜き身の刀を引っ提げたもう一人の斬月を見た一護は目を見張った。一体いつからいたのか。目の前の斬月に意識を注いでいたばかりにまるで気が付かなかった。
「お前……っ! いるなら最初からいろよ!」
「うるせえ。俺も出る気はなかった」
 決まりの悪さからつい大声になった一護の抗議を、白い斬月はしかめ面で受け流す。見据えているのは一護を挟んだ向こう側、黒い斬月だ。
「言ってたことと違うじゃねえか。元はこいつが流されて変なことにならないよう釘を刺すって話だったろ。あんたが流してどうすんだ」
「…………」
「だんまりか?」
「……欲は初めから備わっているが、交わり方は学ばなければ身に付かない」
「いきなり過ぎんだよ。そもそもやる前提で進めんな」
「……一護」
 しばらくの沈黙の後、一護の肩越しに斬月と見合っていた斬月が、再び一護の方を向く。身構えた一護が後退しなかったのは二人の教育の賜物だ。
「いついかなる時でも中断できる。一度受けたからといって気負う必要はない。私からお前への信頼は、そんなことで損なわれるものではないのだから」
 微動だにしない斬月とは反対に、すたすたと軽い足取りで一護の斜め前まで歩み出た斬月は、そうじゃねえんだよ、とばかりに溜め息を吐いた。
「好きだからってやらなきゃなんねえ道理はねえ」
「それが本能でもか?」
「俺たちの王はひとりだけだ。当代限りで何の不足がある」
 かつて自分が一護に向けた単語を向けられた斬月は、当て擦りとも取れそうなそれを気にした風もなく即答する。
「おい」
「てめえは黙ってろ」
 一護の不服の声を聞いた斬月が、声と背中に不機嫌を纏わせる。
 しかしそれに怯む一護ではない。
 斬月の声の調子から真面目な回答であることは察せられたが、一生童貞で構わないと言われるのは違う。一護は死覇装の背中に文句を投げつける。
「つったって俺の話だろうが」
「今ここで答えを出すことじゃねえって言ってんだ。てめえがやりてえのは分かった。だが今すぐにする必要はどこにある?」
「いや……それは、そう……だけどよ……」
「分かったなら帰れ」
 振り返らないまま追い払おうとしてくる斬月をとりあえずそのままに、一護は先にいた方の斬月を見た。
 助けを求めたわけではない。兄としての習い性だ。妹二人を持つ身としては、いくら納得がいったからといって、片方だけの言い分を聞くわけにはいかない。
「私は結論を急ぎすぎた。ここは一度引いてくれ。お前の望むようにすることが私の望みだ」
 おっさんそれはずりぃだろ、と思いながら一護が瞬くと、目の前の景色は自室の壁に変わっていた。


  ◇


 意を決して入った精神世界の中で、一護は黒い斬月を見据えた。
「おっさん自身はどうなんだよ」
 セックスに興味がある。
 いずれはしたいと思っている。
 するなら相手は女だと思っていたが、斬月を相手にするのが嫌だということはない。
 それが刃禅ではなく、坐禅の真似事をしながら考えた一護が出した答えだった。
 経験の有無などどうでもいいと開き直れない自分と違って、斬月は見てくれ通りに大人なのだから、セックスに対して一護のような考え方をしているわけではないだろう。例えば遊子に求められた一護が買い物に付いていくように、何の気負いもなく日常の一端としてできるものなのかもしれない。
 だが仮にそうだとしても、きちんと意志を確認しておきたかった。
「俺のためとかそういうんじゃなくて、斬月がどうしたいかを聞きたい」
 一護はかつてない緊張感を覚えながら、自分を見ている斬月が静かに瞬くのを見つめる。気を利かせたのか、探ってみてももう一人の斬月の気配は感じられなかった。
「私はお前と交合したい」
 明瞭すぎる答えに一護は呻いた。
 一護はいつも通りの立ち位置から動く様子のない斬月を見ながら、きゅっと嫌な縮み方をした心臓が、年齢に似合わない不整脈のような打ち方をするのをなだめる。
 あまり負荷を掛けすぎると、白い斬月が一護の危機と判断して出てきてしまうかもしれない。前回はさておき今回は完全に自分の責任だ。姿を見せないだけで思考も会話も筒抜けだろうが、今この場で顔を合わせたくなかった。
「一護、お前は思い違いをしている。私は、私が望むことしかしていない。お前の望みを何でも叶えてやりたいというのは、ただの私のわがままだ」
「そうかよ……」
 会話を終えても逸らされることのない斬月の目に、他に聞きたいことがあると見透かされているのを感じて、一護はすいと目を逸らした。
 斬月から提案を受けた日からずっと、男同士でどうやってするのだという疑問、もとい興味が、心の中にドーンと腰を据えている。男女の性交ですら児童向けの絵本でなぞっただけの曖昧な知識なのだ。男同士の方法など、斬月に尋ねる以外に知る術を思いつかなかった。
 一護は気づいていなかったが、今や一護の興味は童貞を捨てることではなく、斬月とセックスすることに主軸を移しつつあった。コウノトリだとかキャベツ畑だとかの子供だましを言うこともないだろう、という信頼もある。
 一護はもう一度斬月を見た。
「……最初に言ったけどよ、俺もおっさんも男だろ。どうやってやるんだ?」
「性交の方法は一つに限らないが、感覚を膣性交に近づけるのならば肛門を使う。膣口に見立てた肛門に、勃起した陰茎を挿入するということだ。この場合は直腸が膣の役割を担う」
 説明を聞いているうちにどんどん顔色を変えていく一護をどう思ったか、斬月は心得ているとばかりに頷いた。
「安心するといい。私は食事を摂らない。排泄もしない。私の肛門は今――お前のためにある器官だ」畳む
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