#再投稿 #映画感想 『ただ悪より救いたまえ』とても良い作品だったのでエンドロール中にパンフレットの購入を誓ったのですが、大して興味の持てない内容だったので損した気分になりました。何を期待していたかと聞かれると分からないのですけど。映画のパンフレットって値段に大差ない割に当たり外れが大きいと思います。伏せた部分を読む予告映像を見て鑑賞を決めたので、あらすじも何も読まずに行って、観終えてからStoryを読み、私が一体どうなるのかとはらはらしていた部分は全部事前にお出しされていたと知りました。私は主人公が愛した女性が死ぬことも知らずに見ていましたからね、衝撃を受けられてよかったです。主人公インナムは殺し屋をやめてカタギに戻るところだったのに、もう殺しはやめたとか、後戻りできなくなるとか、そういう躊躇いが一切ない。切るぞと脅すシーンもなくとりあえず切ってから二本目を切ると脅す。ひとまず殴って話はそれから。覚悟が決まっていていい。アクションの緩急もかっこいいです。淡々とした、けれども派手な暴力がある。人情と無情のバランスもいい。タイトルもしっかり回収されています。確かに「悪から救われて」いる。死が救いとなる世界観なのかが分からないので、インナムが救われたのかは分かりませんが、救われるべき善人(娘とユイ)は悪の手を離れました。悪であるかどうかの判定がすごく厳しいというか、主人公補正のような情状酌量的要素がない、公正な作品だと思いました。人を殺してはいけないし、児童誘拐も臓器売買もしちゃいけないんですよ。派手なドンパチがありながら、警察官に死人が出なかったように見えるのもそういうことなのかな。インナムが心を残したまま別れた恋人のことをまだ愛していて、彼女を殺されたことに憤るなら分かるのですが、会ったこともない、今日まで存在すら知らなかった娘にそこまで必死になれるものだろうか、ということが鑑賞中引っかかっていました。娘なんかほっぽってカタギに戻ることもできたのに。恋人を殺した相手への復讐というのは全くなさそうだったから余計に思います。ユイがインナムの娘に情を移しているのはまだ分かるんですけど。人身売買のシーンを見ても、ユイは情に厚い人っぽいので。でもたぶん、インナムにとって娘は「得られるかもしれなかった平穏の象徴」「良心」みたいなもので、手放したが最後本当の意味でカタギに戻ることはできず、だからああして傷を負っても守ろうとしたんでしょう。レイと殺し合っている理由を忘れた(私はこれは謳い文句かつ作中では答えるのが面倒で放った言葉であって、本当に忘れたとは思っていなかったのですが、本当に忘れているという意味で使われているのでしょうか)ように、実の娘、恋人の忘れ形見だからではなく、ただ守ることが目的になっている。私はそう解釈しました。悪が一掃されて治安が良くなった気がします。いい結末でした。映画『ホステル』の舞台となったスロヴァキアの方が、自国の評判を貶めると懸念していたことがあるので、本作の明確にタイだと描写した上での誘拐と臓器売買は大丈夫なのだろうかと心配になりました。畳む 感想 2022/01/22(Sat) 22:00:02
とても良い作品だったのでエンドロール中にパンフレットの購入を誓ったのですが、大して興味の持てない内容だったので損した気分になりました。何を期待していたかと聞かれると分からないのですけど。映画のパンフレットって値段に大差ない割に当たり外れが大きいと思います。
予告映像を見て鑑賞を決めたので、あらすじも何も読まずに行って、観終えてからStoryを読み、私が一体どうなるのかとはらはらしていた部分は全部事前にお出しされていたと知りました。私は主人公が愛した女性が死ぬことも知らずに見ていましたからね、衝撃を受けられてよかったです。
主人公インナムは殺し屋をやめてカタギに戻るところだったのに、もう殺しはやめたとか、後戻りできなくなるとか、そういう躊躇いが一切ない。切るぞと脅すシーンもなくとりあえず切ってから二本目を切ると脅す。ひとまず殴って話はそれから。覚悟が決まっていていい。アクションの緩急もかっこいいです。淡々とした、けれども派手な暴力がある。人情と無情のバランスもいい。
タイトルもしっかり回収されています。確かに「悪から救われて」いる。死が救いとなる世界観なのかが分からないので、インナムが救われたのかは分かりませんが、救われるべき善人(娘とユイ)は悪の手を離れました。悪であるかどうかの判定がすごく厳しいというか、主人公補正のような情状酌量的要素がない、公正な作品だと思いました。人を殺してはいけないし、児童誘拐も臓器売買もしちゃいけないんですよ。派手なドンパチがありながら、警察官に死人が出なかったように見えるのもそういうことなのかな。
インナムが心を残したまま別れた恋人のことをまだ愛していて、彼女を殺されたことに憤るなら分かるのですが、会ったこともない、今日まで存在すら知らなかった娘にそこまで必死になれるものだろうか、ということが鑑賞中引っかかっていました。娘なんかほっぽってカタギに戻ることもできたのに。恋人を殺した相手への復讐というのは全くなさそうだったから余計に思います。ユイがインナムの娘に情を移しているのはまだ分かるんですけど。人身売買のシーンを見ても、ユイは情に厚い人っぽいので。
でもたぶん、インナムにとって娘は「得られるかもしれなかった平穏の象徴」「良心」みたいなもので、手放したが最後本当の意味でカタギに戻ることはできず、だからああして傷を負っても守ろうとしたんでしょう。レイと殺し合っている理由を忘れた(私はこれは謳い文句かつ作中では答えるのが面倒で放った言葉であって、本当に忘れたとは思っていなかったのですが、本当に忘れているという意味で使われているのでしょうか)ように、実の娘、恋人の忘れ形見だからではなく、ただ守ることが目的になっている。私はそう解釈しました。
悪が一掃されて治安が良くなった気がします。いい結末でした。
映画『ホステル』の舞台となったスロヴァキアの方が、自国の評判を貶めると懸念していたことがあるので、本作の明確にタイだと描写した上での誘拐と臓器売買は大丈夫なのだろうかと心配になりました。畳む