#ツイステ トレリドです。口調は小園さんにチェックしてもらいました✌️「ボクはキミのことを長幼の序を持ち出すようなつまらない男ではないと思っていたんだけれど……」 皆まで言わずとも分かるだろうと言いたげなリドルの眼差しを受けて、トレイは浮かべた笑顔は消さないまま、密かに腹に力を入れた。相手はリドルだ。自分が抱く側をやりたい理由を述べるのに、半端に日和るべきではなかったのだ。 まるでそこが玉座でもあるかのようにトレイの部屋の椅子に腰掛けたリドルは、奥にあるベッドを流し見る。副寮長と言えども自室は何もかもを見渡せるワンルームだ。リドルを部屋に招くのは今までだって散々してきたことなのに、今日ばかりはベッドの存在感が大きかった。「たかだが一歳差。学内のことならまだしも、プライベートのことにまで有効とは思えない。キミにボクを説得できるだけの用意はあるのかい?」「……ないな」 トレイは肩の力を抜いた。これは遊びだ。前哨戦ですらない。猫が鼠を嬲るような様子ながら、猫であるリドルはその鼠が安全な檻に入っていることを知っている。「俺がお前を抱きたい。理由はただそれだけだ」「副寮長ともあろう者が随分と稚拙な物言いをするね」「何とでも。俺は欲しいものを我慢できない性質だからな。お前と違って」 すっとリドルの片目が細まる。 リドルの前でリドルの過去に触れるのはずっとしてこなかったことだ。それはトレイの後悔でもあったが、今手札として使った理由はもっと単純。欲しいものを手に入れるためなら、どんな情けないことでもしてやろうという気になっているからだ。もちろん、リドルが傷つかないことに限ってだが。 トレイは一歩踏み出した。踵が床を叩く音が妙に大きく聞こえる。「想像したこともなかったか? 俺がどんなにお前を好きで――」 一か八か。トレイはリドルの小さな顎の下に手を伸ばすが、指先が触れる寸前にぱしりと叩くように掴まれる。 しかし、その手が離されることはなかった。 トレイはリドルの指先の少し冷たいくらいな温度を感じながら、リドルをじっと見据える。「この手に収めてみたいと思っていたかを」 口上を言い切ったトレイが誘うように口元を緩めて見せても、リドルの表情は変わらない。瞳の奥にある感情が不機嫌ではないことまでは分かったが、リドルが瞳を伏せてしまったためにそれ以上の追求は不可能だった。「不遜だね。キミの手には余るんじゃないかい」 ダンスのリードを受けるような形になっていた手をそのままに、椅子から立ち上がったリドルは、手のひらをすいと返し、トレイの手を下から掬い上げるように持つ。彼我の身長差は二十一センチ。トレイの手は文字通り、リドルの手に余る状態だ。それでも頼りなさを感じさせないのは、リドルの放つ威厳が成せる業だろう。「おいで、トレイ。口説き方を教えてあげる」 小ネタ 2024/12/17(Tue) 09:58:58
「ボクはキミのことを長幼の序を持ち出すようなつまらない男ではないと思っていたんだけれど……」
皆まで言わずとも分かるだろうと言いたげなリドルの眼差しを受けて、トレイは浮かべた笑顔は消さないまま、密かに腹に力を入れた。相手はリドルだ。自分が抱く側をやりたい理由を述べるのに、半端に日和るべきではなかったのだ。
まるでそこが玉座でもあるかのようにトレイの部屋の椅子に腰掛けたリドルは、奥にあるベッドを流し見る。副寮長と言えども自室は何もかもを見渡せるワンルームだ。リドルを部屋に招くのは今までだって散々してきたことなのに、今日ばかりはベッドの存在感が大きかった。
「たかだが一歳差。学内のことならまだしも、プライベートのことにまで有効とは思えない。キミにボクを説得できるだけの用意はあるのかい?」
「……ないな」
トレイは肩の力を抜いた。これは遊びだ。前哨戦ですらない。猫が鼠を嬲るような様子ながら、猫であるリドルはその鼠が安全な檻に入っていることを知っている。
「俺がお前を抱きたい。理由はただそれだけだ」
「副寮長ともあろう者が随分と稚拙な物言いをするね」
「何とでも。俺は欲しいものを我慢できない性質だからな。お前と違って」
すっとリドルの片目が細まる。
リドルの前でリドルの過去に触れるのはずっとしてこなかったことだ。それはトレイの後悔でもあったが、今手札として使った理由はもっと単純。欲しいものを手に入れるためなら、どんな情けないことでもしてやろうという気になっているからだ。もちろん、リドルが傷つかないことに限ってだが。
トレイは一歩踏み出した。踵が床を叩く音が妙に大きく聞こえる。
「想像したこともなかったか? 俺がどんなにお前を好きで――」
一か八か。トレイはリドルの小さな顎の下に手を伸ばすが、指先が触れる寸前にぱしりと叩くように掴まれる。
しかし、その手が離されることはなかった。
トレイはリドルの指先の少し冷たいくらいな温度を感じながら、リドルをじっと見据える。
「この手に収めてみたいと思っていたかを」
口上を言い切ったトレイが誘うように口元を緩めて見せても、リドルの表情は変わらない。瞳の奥にある感情が不機嫌ではないことまでは分かったが、リドルが瞳を伏せてしまったためにそれ以上の追求は不可能だった。
「不遜だね。キミの手には余るんじゃないかい」
ダンスのリードを受けるような形になっていた手をそのままに、椅子から立ち上がったリドルは、手のひらをすいと返し、トレイの手を下から掬い上げるように持つ。彼我の身長差は二十一センチ。トレイの手は文字通り、リドルの手に余る状態だ。それでも頼りなさを感じさせないのは、リドルの放つ威厳が成せる業だろう。
「おいで、トレイ。口説き方を教えてあげる」