雑記帳

日記とか備忘録とかそういうの

#映画感想 『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観てきました。久しぶりの映画館です。おもしろかったけど好みの話じゃなかったなーと思いました。でも感想文を書いているうちに消化できてきたので悪くなかったになってきました。

一応苦手ポイントを忘れないために書いておく。

PG12で親族からの性暴力とそれを知りながら助けずむしろ当然と奨励する親族というのを出されると思っていませんでした。私がものが分かる年齢だから拾ってしまうのだろうし、映像がないからセーフ判定なんだろうけど、R15+でもよかったんじゃないかなぁ。急に性暴力が来ることに耐性がなくて『超高速!参勤交代』の少女時代に足を弄られるシーンも引きずりました。児童への性暴力を描いた作品を読むくせに変な気がするけど、分かってて読む分には平気なんだよな。心が柔らかい時に来るのがだめ。
沙代から水木への想いは村を脱出したいという思いから生じたものだと明示されていたのはよかったです。

幽霊族と村外の人々の命を犠牲にした血液製剤については、カブトガニからの血液採取を必要なものだからと黙認している私は非道だと熱り立つことができず、しかも終盤で来たものだからせっかくの最終決戦に乗り切れませんでした。卵の生産なんかもどうだかなって環境だし…畳む


ここから下は気を取り直して普通の感想です。

自宅の蛍光灯も数年前までピンと鳴るもの(複数本あるのでピン…ピピピンと鳴る)だったので、電車内の電気の音が懐かしいです。導入が丁寧で好きです。昭和の喫煙家は子供が咳してたからどうという感覚がないからな。気遣いがないとかそういうんじゃなくて。あー、そうだったなって感じ。子供の咳が聞こえる中、水木が煙草を吸うか吸わないか分からないタイミングで異質な空間に切り替わった演出がよかったです。

当主の弔問だということをすっかり忘れていたので、沙代に会ったとき何で黒紋付なんだろうと思いました。人が死んだから行ってるんだよ。お嬢さんの鼻緒をすげるシーンというものを久しぶりに見ました。時代劇の鉄板だった気がする。鼻緒をすげるシーンはよい。
遺影のサイズが大きいから時貞はもっと大きい男だと思ってましたね…小島の地下で座ってるの見て「ちっさ!!」と思いました。鬼太郎あんまり知らないんですけど、子泣きじじいと砂かけばばあが小さいから老人は縮む世界観か。

長田が出てきた時「お前のようなうさんくさい村長がいるか!」と思いました。村長なのは本当だった。あんな縄文時代みたいな耳飾り付けてるのに。村長なのは本当なんだ。催眠で村長のふりしてるとかじゃないんだ。
乙米との仲がずっと怪しかったので、沙代の解放シーンで見せた必死さに昔からの付き合いなんだなぁ…と察せられてすっきりしました。取り入ってるとかじゃないんだ。うさんくさい村長なんじゃないんだ。いやうさんくさいんだけどさあ、よそ者に対してうさんくさいだけで村民に対しては普通の村長なわけだから。
武者鎧の裏から乙米が出てきた時って何してたんでしょう。時麿が嫁取りを許されなかったのは、時麿は時貞の子供ではなく、時貞の父と時貞の姉や妹の子だからとかそんなんはあるんだろうか…と思ったけど、血を強くする目的だから違うか。時弥が成人したら当主にするというのは時貞が成り代わるためだろうし。

ご飯のシーンがおいしそうでした。酒も飲まないのにうまそうに思った。塩焼きの魚が食べたいし、お蕎麦が食べたい。帰りに食べたお蕎麦はおいしくありませんでした。長野松本で食べた蕎麦が人生で一番おいしい蕎麦です。

娘が身を捧げるのが伝統なら乙米も父親と寝てるんだろうなぁ。
乙米がフィクションによくある母親の造形じゃなく「かつて娘だった女」という感じなところが好きです。目を覚まして娘だけでも逃がそうとする母親になったり、母親らしいことができなくてごめんねって言ったりする展開にならなくてよかった。本作で一番好きなキャラは乙米かもしれません。
長女の自分は親が決めた男とつがわなきゃいけないのに、次女は好きな男と駆け落ちしようとするし、三女は乙米の好きな男と結婚して子供産むし、乙米の心の中はぐちゃぐちゃだと思うんですよ。妄想がすぎるのですが時弥の体が弱いのを管理が甘いとなじるのは「自分が長田の子供を産んでいたのならもっとちゃんと……」という思いがあるんじゃないかと思いました。
娘の沙代について水木に「あんたがお父様のお気に入りだって知ってる」という言い方したのは、娘が初潮を迎えてからは夜の役目から解放されてホッとした気持ちと、父親に必要とされなくなったという気持ちが混ざってたところに、自分はできなかった「想い人と添い遂げる」ということへの嫉妬・羨望が湧いて足を引っ張りたくなったとかないですかね。
繰り返しになるけど、私は乙米が母親の役目も妻の役目も割り振られてないとこ好き。

水木とゲゲ郎が酒を飲んでいるシーンで「釣瓶火か」と言ったの、妖怪の話を子守のばあさんに聞かされてたのにすっかり忘れて戦争と今のことばかりになってた水木が、ちゃんと思い出を取り戻したということが感じられて好きです。名前を呼んでもらえる、知っててもらえるって妖怪にとっても大事なことだろうし。そら釣瓶火もタバコの火を点けさせてくれるよ。そうやって思うとゲゲ郎にゲゲ郎と名前を付けたことは結構大事なことだったりするのか?
名前といえば感想のためにキャラ紹介ページ見てたんですけど、時貞の子供の名付けパターンが分かりません。時麿は長男だから「時」とつけて、あとは甲乙丙丁かと思ったけど違うぽい。

バトルシーンは洋館屋上のシーンが一番好きです。高低差がある場所でのバトルかっこいい!筋力がすごい!
修験者ではなく陰陽師と言ったのなんでなんでしょう。天狗の酒を出す都合、堕ちた修験者というのは相性悪いからか。この裏鬼道の皆さんどうやって出てきてるかとか、長田がいつ着替えたかとかが分からないとこがいいなぁと思いました。あと孝三が水木をきゅってしてるとこがかわいい。洋館屋上で沙代が着てたワンピースめちゃ好みです。今よりもっともっと情報が少ない時代だから東京がとてもきらきらして見えたんだろうなーって。まあ違ったんですけど。

地下の製造工場でゲゲ郎の腕を縛ったのが、ちゃんと止血する気なんだって感じがしてよかったです。全部ないゲゲ郎もそれはそれでいいと思う。
狂骨憑きの沙代が人ならざる力でさくさく親族の邪魔者を殺していく回想シーン小気味よかったですね。裏鬼道の皆さんに対しては超常的な感じで殺していったのに、水木に対しては首を絞める方に出たのが、やっぱ好きな人は扼殺したいよね~~分かる!!と思いました。

嫌悪感を軽減するためだと思うのですが、スレイヤーズのヘルマスターが好きな身としては、ラスボスは前当主の顔ではなく時弥の顔できてほしかったです。とどめを刺す瞬間にジジイに変わる感じで……
赤ん坊の泣き声で幽霊族の亡骸が一斉に力を集めだすシーンは赤ちゃん大好きかよと。この話は子供を大事にできないやつらが滅びてますからね。当然ですね。私は珍しい生き物を雌雄で手に入れたら子供を産ませようとする気持ちが分かる(キタシロサイに子供が生まれてほしかった)から、時貞が赤ちゃん生まれるの喜ぶの何かちょっと分かる気がするんだ。目的がカスなだけで。作ろうとしたのが日本人シャカリキ薬じゃなく時ちゃんの治療薬だったらどう思ったかな…
時貞in時弥は咳一つしないけど、これは肉体の病気じゃなかったってことなのか、たまにある調子の良い時間帯だったのか。すべてが思惑通りにいった時貞が激しく咳き込みながら成人できずに死ぬ展開もあったのか?

全部壊したい水木に守るものができるラストでよかったけど、もうちょっと誰かが報われてほしかったです。後味があまりよくなくて、前述の引っかかりポイントもあって、それで終演後一番最初の感想が「おもしろかったけど好きな話じゃなかった」になった。ハッピーエンドがめちゃくちゃ好きなので。
今は脳みそが妄想の方面(つまり自分の安全圏)に行ってるから大丈夫になってます。感想書いてるうちに「時弥の狂骨が祓われたときに沙代が迎えに来たけど、時弥の両親を殺したのは沙代なのにどの面下げて来たんだ?」と思ったんですが、地獄ではご親族ハッピートークが繰り広げられて和解済みなのかもしれませんね。
克典が沙代は自分の子なのかと疑ったときに、乙米が婚約以後長田には一切自分に触れさせなかった矜持エピソードがお出しされて欲しい。それか婚約が決まったときに乙米が長田にそれを願った(もしくは命じた)たけど長田が断ったとか。ここはもう円満に3Pで頼む。畳む
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