うな
2025/09/13 08:35
緑茶とカブトガニとうんこが好き。今のハマっているものの話と旅行の話がメインのはず。居酒屋メニューが好きなんだけど、お酒を飲まないから旅先のご飯は定食屋さんになりがち。
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横になっているのが一人とはいえ、ダブルベッドに男三人というのは手狭だった。唯一背中をベッドにつけているアカバも伸び伸びとはいかない。むしろ一番窮屈な体勢で、端にちょんと腰掛けているクロノの方がリラックスしているような有り様だった。
「なあアカバ、こっち見てくんねぇの?」
「……っ」
「横顔見てんのも嫌じゃねーけど、ずっとこのまんまってのも寂しいだろ」
ベッドの本来の主であるシライは、組み敷いたアカバの頭を撫でた。右目を隠している髪に指を入れて、そのまま手を動かせばリトライアイが露わになるという寸前で留める。
無理やり顔の向きを変えさせようとするのではない、髪を払うようにそっと頬に添えらた手のひらの温度にいつかの記憶を呼び起こされたアカバは、とっさにシライの方に目を向けたが、すぐに瞳を泳がせた。平時あまり使うことのない右目が眩しい気がするのは、天井灯が明るいせいだけではないだろう。
アカバがシライの問いかけに対して言い訳もせずに押し黙っている理由はいくつもあったが、そのどれもが喉で止まっている。なけなしの抵抗で息を整えると、シーツに染み付いたシライの体臭を吸い込んだ。
いつになく動きの鈍いアカバを動かしたのはクロノだった。
「おじさん」
「なんだよ?」
「アカバをいじめないでくれ」
「やきもちか?」
「そうだ」
からかいがいのない、と言わんばかりのシライの視線を受け流しながら、ベッドに腰掛けているクロノはアカバの頭を撫でる。
「おじさんのちんこが大きすぎるんだ。気遣いが足りない」
「そんなこと言って、おまえはおれのが楽に入るじゃねーか」
「入るようになるまで散々慣らしたろ。忘れたのか」
「忘れてねーよ。でもアカバ、初めてじゃねぇだろ」
クロノは瞳に不平を湛えてシライを見る。
「アカバはおれとしかしてない。だから、おじさんのは迷惑なサイズだ」
クロノの発言に腹を立てたのは、言われたシライではなく、クロノに気遣われているはずのアカバだった。
「迷惑とはなん……っ」
しかし、クロノに抗議しようとしたアカバの威勢の良さは、言い切るまで続かなかった。
人間、全ての部位に同時に力を入れることはできない。アカバが声を出すために腹に力を入れたおかげで、アカバの尻の緊張が緩まった。そこに、シライはもう一息入れ込んだのだ。
シライの無体を受けて、アカバは罵るはずだったクロノに弱りきった顔を向けた。ただでさえ強かった圧迫感が、今や腹の奥まで支配していた。その存在感はクロノとするときの比ではない。
目を白黒させるアカバを見て、クロノは溜め息をついた。
「おじさん」
「強力なご協力どーも」
「不可抗力だ」
「考慮してねぇって? おれはしばらく動かねぇから、アカバがおれのこと忘れるくらい気持ちよくさせてやれ」畳む