#再投稿 #映画感想 『汚れたミルク』傘を梅田に忘れたので、取りに行くだけではもったいないと思い映画を見ることにしました。ご飯代がかかるのでどう考えても観ない方が安い。伏せた部分を読む幸せな結婚をし、多国籍企業に転職し、上司に相手にしなくていいと言われた若手医師を口説き落としていくことで成功を収める主人公。主人公の友人となった医師がパキスタン最大の都市カラチから戻ってきたとき、サクセスストーリーから状況は一転します。粉ミルクを汚れた水で溶かして飲むために下痢を起こして赤ん坊が死ぬ。主題は公式サイトのあらすじにある通りです。国産の製薬会社に勤めていたときに医師に言われた「誰も国産なんてほしがらない」というのが後々の民衆の欧米製品産への憧れという発言に繋がるんだと思う。もちろん賄賂もあるのでしょうけど、現金はともかく心証アップのために自社製品を撒くのは多寡はあれどどこでもあるような。双子の赤ん坊の写真にやらせ疑惑が出ているというのは頷けます。母親がただ証拠を得るためだけに衰弱していく我が子に粉ミルクだけを与え続けるだろうか。また、いけないことだと指導して分からせても貧困から粉ミルクを薄めて飲ませる人は後を絶たないだろうし、水道の整備は政府の管轄です。多国籍企業だけが悪いとは言えない。それに貧しい母親は母乳を十分に出せるほど栄養を取れるのだろうか?現実は一筋縄ではいかないのだなぁと思う映画でした。実話が元になっているので仕方ありませんが、はっきりと善悪があるわけではないので悪の親玉が死んで終わりとはならない。告発した人は家族を呼び寄せられたとはいえ国外で暮らさざるを得なくなったことはいいのか悪いのか。英雄になれるって言ったじゃない。モデルとなった粉ミルク販売の多国籍企業はネスレです。作中ずっと仮名ですが、告発のドキュメンタリーを作るというていで劇中劇のような形で写されるので、主人公が面接を受けに行く序盤で「ネスレ社」の看板を出してから「名前は出さない方がいいのでは」「とりあえず仮名にして感触を見よう」と巻き戻して仮名で始めるのが面白かったです。めちゃくちゃ偏見に満ちかつ不勉強丸出しの発言ですが、パキスタンに戦争のイメージしかないから国産製薬会社があることにも大学があることにも驚きました。昨今のイスラム教が悪し様に言われる風潮にどっぷりだったこともあり、主人公の妻が主人公と愛情いっぱいに暮らしていたり、夫に意見をしたり、主人公の母も夫に早く食べろと言ったり…ということにも驚きました。地域差家庭差はあるでしょうし、そこが主題の映画ではないというのもあるかもしれませんが、ものすごく普通です。これだけでも見に行ってよかった。畳む 感想 2017/03/24(Fri) 21:16:08
傘を梅田に忘れたので、取りに行くだけではもったいないと思い映画を見ることにしました。ご飯代がかかるのでどう考えても観ない方が安い。
幸せな結婚をし、多国籍企業に転職し、上司に相手にしなくていいと言われた若手医師を口説き落としていくことで成功を収める主人公。主人公の友人となった医師がパキスタン最大の都市カラチから戻ってきたとき、サクセスストーリーから状況は一転します。
粉ミルクを汚れた水で溶かして飲むために下痢を起こして赤ん坊が死ぬ。主題は公式サイトのあらすじにある通りです。
国産の製薬会社に勤めていたときに医師に言われた「誰も国産なんてほしがらない」というのが後々の民衆の欧米製品産への憧れという発言に繋がるんだと思う。もちろん賄賂もあるのでしょうけど、現金はともかく心証アップのために自社製品を撒くのは多寡はあれどどこでもあるような。
双子の赤ん坊の写真にやらせ疑惑が出ているというのは頷けます。母親がただ証拠を得るためだけに衰弱していく我が子に粉ミルクだけを与え続けるだろうか。また、いけないことだと指導して分からせても貧困から粉ミルクを薄めて飲ませる人は後を絶たないだろうし、水道の整備は政府の管轄です。多国籍企業だけが悪いとは言えない。それに貧しい母親は母乳を十分に出せるほど栄養を取れるのだろうか?
現実は一筋縄ではいかないのだなぁと思う映画でした。実話が元になっているので仕方ありませんが、はっきりと善悪があるわけではないので悪の親玉が死んで終わりとはならない。告発した人は家族を呼び寄せられたとはいえ国外で暮らさざるを得なくなったことはいいのか悪いのか。英雄になれるって言ったじゃない。
モデルとなった粉ミルク販売の多国籍企業はネスレです。作中ずっと仮名ですが、告発のドキュメンタリーを作るというていで劇中劇のような形で写されるので、主人公が面接を受けに行く序盤で「ネスレ社」の看板を出してから「名前は出さない方がいいのでは」「とりあえず仮名にして感触を見よう」と巻き戻して仮名で始めるのが面白かったです。
めちゃくちゃ偏見に満ちかつ不勉強丸出しの発言ですが、パキスタンに戦争のイメージしかないから国産製薬会社があることにも大学があることにも驚きました。
昨今のイスラム教が悪し様に言われる風潮にどっぷりだったこともあり、主人公の妻が主人公と愛情いっぱいに暮らしていたり、夫に意見をしたり、主人公の母も夫に早く食べろと言ったり…ということにも驚きました。
地域差家庭差はあるでしょうし、そこが主題の映画ではないというのもあるかもしれませんが、ものすごく普通です。これだけでも見に行ってよかった。畳む