#運命の巻戻士 どうすんだよって感じの人間のシライ×メダカのクロノ。性的描写を含みます。伏せた部分を読む シライは青いメダカを一匹飼っている。 研究室にいたのを入れ物ごともらったから元手は掛からなかったが、あれもこれもと甘やかした今では、水槽に掛けた費用はそれなりの金額になっている。 メダカの名前はクロノ。シライの帰宅時間に合わせて水槽のライトをつけるから、クロノにとっては昼が夜、夜が昼だ。クロノは物音というほどの音を立てないから、シライは互いの食事の間という短い逢瀬を楽しんでから、エアレーションのモーター音を聞きながら眠りにつくのだ。シライはクロノが動く姿を見るたび、自分が電気がついていても寝られる性質でよかったと思う。 卵がある。 帰宅したシライは、青々と茂ったマツモに付いた透明な卵を角度を変えて見た。 クロノは正真正銘の一匹飼い。水も水道水をカルキ抜きして使っている。卵は見た感じはメダカの卵で、今のマツモを入れて一か月は経っているから、マツモについてきた可能性は限りなく低い。状況的にクロノが産んだとしか思えなかった。 メダカの雌雄は分かりやすい。シライは小学校の授業で習って以来、久しぶりにメダカの雌雄の判別方法をインターネットで調べてみるが、やはりクロノはオスだった。 シライは水道水をそのまま飲むことに抵抗がない。水が原因でオスが卵を産むくらいなら、今頃シライだって産卵しているはずだ。 シライは水面に浮かんだ餌を食べているクロノを見ながら、ちらちらとマツモについた卵を見る。 小鳥は飼い主を番と考えて産卵することがあるらしいが、メダカにもそれがあるのだろうか。 ほんの出来心だった。 シライは食べ終えたコンビニ弁当のフタの一角に、クロノの卵を取り上げた。一つ一つ、卵を潰してしまわないようマツモから取り外していく。 それから、シライは使ったことのある信頼の置ける動画を再生した。泳いでいるクロノの姿を時折見ながら、無心に自分の分身を扱く。 結果として出力されたのは小さな卵の集まりには多すぎる量の精液で、クロノの卵は完全に浸ってしまった。「……はは」 ティッシュに手を伸ばしながら、バカみてえ、とシライは思った。 電子レンジというのは便利なもので、ボタン一つで加熱調理が可能だ。シライは引っ越した当時から使っている、温め機能しかないちゃちな電子レンジのピーッという電子音を合図にドアを開ける。独特の臭気に顔を顰めた。 クロノの水槽の水量は少ない。温かいものを入れるのは急な温度上昇が心配だった。都合のいいことに、食べ残しで水質が悪くならないよう、クロノが食べ切れるサイズに切り分けてやれば、〝餌〟はすぐに冷たくなった。「大きくなれよ」 水面に浮かぶ白い塊をツンツンとつついているクロノの姿を見ながら、シライは満ち足りた気持ちで頬杖をついた。畳む 小ネタ 2024/12/26(Thu) 10:00:26
シライは青いメダカを一匹飼っている。
研究室にいたのを入れ物ごともらったから元手は掛からなかったが、あれもこれもと甘やかした今では、水槽に掛けた費用はそれなりの金額になっている。
メダカの名前はクロノ。シライの帰宅時間に合わせて水槽のライトをつけるから、クロノにとっては昼が夜、夜が昼だ。クロノは物音というほどの音を立てないから、シライは互いの食事の間という短い逢瀬を楽しんでから、エアレーションのモーター音を聞きながら眠りにつくのだ。シライはクロノが動く姿を見るたび、自分が電気がついていても寝られる性質でよかったと思う。
卵がある。
帰宅したシライは、青々と茂ったマツモに付いた透明な卵を角度を変えて見た。
クロノは正真正銘の一匹飼い。水も水道水をカルキ抜きして使っている。卵は見た感じはメダカの卵で、今のマツモを入れて一か月は経っているから、マツモについてきた可能性は限りなく低い。状況的にクロノが産んだとしか思えなかった。
メダカの雌雄は分かりやすい。シライは小学校の授業で習って以来、久しぶりにメダカの雌雄の判別方法をインターネットで調べてみるが、やはりクロノはオスだった。
シライは水道水をそのまま飲むことに抵抗がない。水が原因でオスが卵を産むくらいなら、今頃シライだって産卵しているはずだ。
シライは水面に浮かんだ餌を食べているクロノを見ながら、ちらちらとマツモについた卵を見る。
小鳥は飼い主を番と考えて産卵することがあるらしいが、メダカにもそれがあるのだろうか。
ほんの出来心だった。
シライは食べ終えたコンビニ弁当のフタの一角に、クロノの卵を取り上げた。一つ一つ、卵を潰してしまわないようマツモから取り外していく。
それから、シライは使ったことのある信頼の置ける動画を再生した。泳いでいるクロノの姿を時折見ながら、無心に自分の分身を扱く。
結果として出力されたのは小さな卵の集まりには多すぎる量の精液で、クロノの卵は完全に浸ってしまった。
「……はは」
ティッシュに手を伸ばしながら、バカみてえ、とシライは思った。
電子レンジというのは便利なもので、ボタン一つで加熱調理が可能だ。シライは引っ越した当時から使っている、温め機能しかないちゃちな電子レンジのピーッという電子音を合図にドアを開ける。独特の臭気に顔を顰めた。
クロノの水槽の水量は少ない。温かいものを入れるのは急な温度上昇が心配だった。都合のいいことに、食べ残しで水質が悪くならないよう、クロノが食べ切れるサイズに切り分けてやれば、〝餌〟はすぐに冷たくなった。
「大きくなれよ」
水面に浮かぶ白い塊をツンツンとつついているクロノの姿を見ながら、シライは満ち足りた気持ちで頬杖をついた。畳む