雑記帳

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#再投稿 #映画感想 『ドライビング Miss デイジー』

好きな漫画家が「余韻が好きな映画」として挙げていたので観ました。
何も調べずにTSUTAYAに行ったのでパッケージを見たとき「つまらないかもしれないなー」と思ったのですが、全くそんなことはありませんでした。

軽妙なトークを交わしながら深まっていく親交と、さらりと織り込まれる舞台となった時代に横たわる影。何となく感じていたものの、ホークが「黒人はトイレを使えない」と言った時にようやく時代が分かりました。
直接的な暴力の描写や怒鳴ったりするシーンはなかったからこそ、作中で使われたキング牧師の演説にある『悪しき人の暴言や暴力ではなく、善意の人の沈黙と無関心』がどういったものなのかが分かります。教会が爆破されたときは渋滞とホークの言葉の上でから知るだけで、現場は映像としては目にしない。車検証を求めてきた警官も直接的な言葉を投げては来ず、見ている側が「そういうこと」を感じて、ホークとデイジーを見送った警官の発言にダメ押しの認識をする。描写される人々も光景も本当に「どこにでもいる普通の人、日常の一部分」なんですよね。物語を進めるための嫌な人っていうのが出てこなかったように思います。

穏やかではあるけれどゆっくりすぎない、登場人物の心情にうかがうことができる適切な時間が与えられていて、特にお墓のシーンがすごく好きです。文字を読めないことを告白したホークにデイジーが文字の読み方を教え、後日プレゼント(※クリスマスプレゼントではない)としてテキストを贈ったとき、私はホークからデイジーに手紙を書くシーンがあるのかなと思ったけどそんな事はありませんでした。安易な感動物語にならないところも素敵でした。
過去(悲しい過去とか栄光の過去とかではなくて、今までに生きてきた人生という「過去」)がある老齢の主人公たちだからこそ出来上がったストーリーが、観ていてとても心地よかったです。畳む
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